現30デバイス接続でも一切遅延無い余裕さ ── WiFi6対応TP-Link Archer AX6000レビュー

1年近く前になるけれど、Wi-Fi 6環境を「TP-Link Archer AX6000」(以下、AX6000)に換えていた。家庭向けWi-Fiルーターとしてはかなり大きなサイズの部類で、アンテナ外観のインパクトも大きい。おのずとから、性能に期待が高まる。また、このレビューを書いてみるきっかけとして、半年ほど前から自宅のインターネット回線スピード推移を30分置きに自動計測してグラフ化してみた。

このレビューでは、以下をポイントとして書いている。

1. ビフォーアフターのスピード比較から見る製品効果
2. 設定画面の使い勝手と機能性について
3. これからのWi-Fi(ルーター)環境に欲しいもの

スピード比較では見えない不安はブランド信頼性でカバー

まず最初に、Speedtest実行結果推移の下グラフを見てほしい(Muninによる描画)。

環境は、NTTコラボ(二次受け)ではない本家「フレッツ光ネクスト ギガライン」、ISPは「かもめインターネット」のPPPoE接続。ほとんどの人からは、おま環(おまえだけの環境)としか見えないけれど、ビフォーアフターで載せるので製品効果としては参考になると思う。

可能な限り、依存環境にならぬよう載せたいと思いつつ、詳しく載せたら攻撃対象になる可能性がかなり高まるのが悩み。いつまでAX6000のファーム更新が継続されるか分からないので、ルーター部を使用し続けるかは不明だ。そうとはいえ、現段階ではAX6000に身を任せることにした。

上グラフで注目してほしいのは、11月末から3月初旬までがルーター部を他に担わせてAX6000を「アクセスポイント(APモード)」として使用した推移。そして、いったんグラフが途切れ、3月末から現在(2021年5月末)までがAX6000を「兼ルーター」としても(インターネット)に露出させた推移だ。なお、Speedtest実行はこのサイトを公開しているWebサーバのためアップロードスピードをとても重要視している。そして、そのアップロードスピード(青線)はほとんど変わらないこともグラフから分かる。

そして下グラフの4つそれぞれは、左上が1日、右上が1週間、左下が1ヶ月、左下が1年スケールのグラフ。夜や週末はISPが混み合うのでスピード低下していることが分かる。

一方で、ダウンロードスピードは飛躍的に向上した。5月の連休中は回線が混んでいたのだろうか落ち込むが、以降は連日400Mbps以上をキープできている。でも、最初はこの結果を手放しに喜べなかった。なぜならば、ルーター部でどの程度の制限(フィルター)が適用されているか、管理画面から把握できないからだ(後述有り)。アップロード側についてもいっしょなものの、ある程度はWebサーバ上でファイアウォールを設定しているので、こちらは無視してよいと考えている。

そうとはいえ、ダウンロードスピードが倍以上に向上したのは「ルーター性能の向上」が大きいのが事実だろう。Wi-Fi環境としてAX6000に交換して最初に管理画面を見た時、管理画面(Web)がサクサクと表示されて処理能力が高いことがすぐに分かった。

そして、ウイルスバスターには苦い思い出しかないのでクライアントPCで使用してないものの、AX6000上でアンチウイルスを有効にして(上画像:PCブラウザで見たもの)このダウンロードスピードなのも良好なところ。よって、AX6000の脆弱性が無い(発見させても最小でファームアップされる)ことを前提とすれば、このダウンロードスピードは魅力的だと感じる。

そして日常使いの体感上でも、Oculus Quest2で単体使用した時や(Wi-Fi 6)、Air Link(PC VR有線)したり、Wi-Fi 6対応スマホででっかいファイルをDLしつづけ、並行してスマートデバイスの反応(OK Google …)を試してみるなどしても一切の遅延が発生していない(20デバイス以上のスマートデバイスが繋がっている)。このためインターネットからのダウンロード側には何も不満が無いことを特筆しておきたい。

通常は上画像のようにスマホの管理アプリ「Tether」の操作で事足りる。

管理画面から感じる信頼性

パッケージから取り出して、設定を行う基本的な手順はスマホだけで済むほど手軽だ。驚くほど簡単で、心配なほどすぐにインターネットアクセスまで完了する。初期設定は、ググればたくさんのレビューがあるので割愛した。

管理画面では、万人に使いやすい「基本」(上画像)と、少し入り込んだ使い勝手を期待する「詳細設定」(上画像内の別タブ)。分けているからこそ、詳細設定の方には突っ込んだ設定を望みたい。

ゲームや公開サーバを使用する場合、「NAT転送」で「仮想サーバ」から公開デバイスを指定するが、ここにはフィルタ設定(条件)が何も表示されない。「DMZ」であれば何も無くてよいが、「仮想サーバ」からの設定であれば何かしら制限をしていると勘ぐるため気になるところだった。そうとはいえ、公開デバイス(公開サーバ)側で対策をしていればそれほど心配しなくてよいかもしれない。強いて言えば、Syslog転送機能があればこれらの不安はすべて払拭かもしれないのになぁ、と感じる。

ルーターとして使用するならば、VPNも使いたくなるのでその機能も気になった。PPTPは使いたくないのでもう一方、と思えば「OpenVPN」しか選択肢がない。L2TP(IPSec)が理想だったけれど、システム負荷など考慮して?OpenVPNの選択肢になったのかもしれない。OpenVPNをスマホで使う場合、アプリを別途インストールしなければならない点もちょっと躊ちょするところだった。

今後のWi-Fiルーターに望むこと

やはり、10GbEポートが搭載されているものにアップデートしたい事に尽きる。

LAN内に10GbE環境を整備してNASも繋いでいると、1GbpsオーバーのWi-Fi 6を活かすには10GbEポートがどうしても欲しいと思ってしまう。ASUSでは対応製品が出始めているけれど、Wi-Fi 6の真価がデバイスからAX6000までの経路でしかないのがどうしても引っかかる。AX6000直付けのUSB共有ディスク接続であればそれも回避できるけれど長期運用が不安だ。

一方で2.5GbEハブも出始めているけれど、私的には購入したい物欲が出ない。だんだんと1GbEの壁を超える機器が揃ってきてるので、今は10GbEポート対応製品までの過渡期なのだろうと思い込んでいる。

直接は関係ないがTP-Linkは10GBase-Tハブで価格破壊な製品をリリースしているので、意外と早くWi-Fiルーターに10GbEポートが採用された製品が出てくるのかもしれない。

しばらくしてからアンチウイルスの履歴をチェックしていると、SQLインジェクションなど外部からのアタックも弾いてくれてるようで頼もしいと思えた! 下画像の場合IP偽装している事もひと目で分かる。

AX6000 Dual-Band Wi-Fi speed boosted by 1024-QAM delivers astonishing wireless speeds of up to 5952 Mbps: 4804 Mbps (5 GHz) and 1148 Mbps (2.4 GHz).

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